デザイナーの皆さんに読んで欲しいユニバーサルデザインの本
個人サイトより~
ビジネスにのめり込んでいた30代は、現在の2~3倍の仕事を抱えており2日おきに徹夜する日々でしたが、参加したセミナーや勉強会も現在の倍以上ありました(参加していたので徹夜に陥っていたのかもしれませんが‥)。
40代に入ってからは、生計とステータスのビジネスから離れ、自分のやりたいプロジェクトに絞り込むようになります。ワークスタイルだけみれば、30代の頃に考えていた夢が実現しているわけですが、ちょっとした問題も出てきています。
ちょうど10年前、ユーザビリティ、アクセシビリティを含むユニバーサルデザインに没頭していました。勉強会に出まくり、関連書籍も購入可能なものはすべて手に入れました。勉強ノートも10冊くらい使ったでしょうか。
先週、ユニバーサルデザイン関連のレポート書きながら、ネット検索をしていたら欲しい情報が掲載されていたドキュメントが見つかりました。
なんとなく昔みたような文面だな、などと思っていたら、なんと自分が書いたものでした。10年前にネット公開したものがコピーされていたようです。
そのドキュメントを糸口に、欲しかった情報が次々と見つかっていったのですが、もしこれが見つからなかったら10年前とまったく同じ作業を繰り返すところでした。
さっそく書庫にこもって、当時の書籍を探し出しました。
絶版になって消えていった本のなかには、現在の本では語られていない貴重な資料となるものがたくさんあります。
昨年11月のエントリー(スタイルの時代 No.7「DJ」)で、「Are You Diggin'?」を取り上げましたが、Cut Chemist氏のインタビューで「掘りは”知識”を意味する」という言葉がありました。
今日やったことは、まさに過去の自分を「掘る」という作業でしたね。
ユニバーサルデザインに関しては、「10年前の自分」には敵いません。今は、当時のノートや録音テープで学ばせてもらってます。
(過去の自分に学ばせてもらっている、というのはヘンな表現ですが‥
さて、「掘り」作業で役立つ本を見つけましたので、ご紹介しておきましょう。
当時は、この本をかなり参考にしていたのですが、すっかり記憶から消えていました‥
書籍名:デザインの未来 環境・製品・情報のユニバーサルデザイン
発行日:1998年12月
編著:古瀬敏
発行:都市文化社
ユニバーサルデザインの七原則のとりまとめ役をつとめた故ロン・メイス教授、手厳しいデザイン批判で知られる認知科学者のドン・ノーマン博士、そして世界各地から集まってきたユニバーサルデザインの提唱者・実践家~
会議の主催者であるイレーン・オストロフ女史が選りすぐった全体会議の講演者たちは、それぞれの角度からユニバーサルデザインの本質を論じ、あるいはその推進のための方策を論じていきます。
「はじめに」より
この本は、1998年にニューヨークで開催された「ユニバーサルデザイン国際会議」の講演をまとめたもので、とても読みやすく臨場感もあります。
ユニバーサルデザインは消費者市場によって動くものです。障害を持った特定の人々を対象とするのではなく、すべての人々、障害を持つ人々と持たない大多数の人々の両方を対象にしているからです。
したがって、すべての人が障害を持っている(あるいはいずれ持つ)という考え方、概念を実際には前提としていると言えるでしょう。
私は、だれもが障害を持つ、まさしくそのとおりだと確信します。すべての人は認めようと認めまいとにかかわらず歳をとり、身体機能が低下すると感じるでしょう。バリアフリー、ADA、建築法規は障害者対応の概念ですが、ユニバーサルデザインはもっと広い意味での利用者を対象とした生活環境や製品のためのデザインです。
ロン・メイス氏による講演より
講演テーマ「デザインの本質」
1998年6月
私は自分の経験から、まず「日用品の心理学」という本を書き、それは後に「日用品のデザイン」というタイトルに変更されてペーパーバックになりました。
※日本語訳は「誰のためのデザイン?」
出版関係の人々はこの本について、「だから何なのですか。何か掘り下げて発見でもしたのですか。こんなのは常識じゃないですか」と批判しました。数分前に起こった簡単な例をご紹介しましょう。
セッションがはじまる前にここへ来たのですが、このスクリーンを見て文字のサイズが小さいことに気づきました。後ろに座る人には読めないと思ったので、もう少し大きくしてほしいと頼みました。別の人が来て聞きました。「何が問題なのですか、これ以上大きくはできませんよ。スクリーンは十分大きい。この条件のもとでやるしかないのです。」
人間側が合わせるべきだという考え方、これが通常の考え方であるというところに問題があるのです。われわれの前に立ちはだかる敵は人間の本性です。したがって、次に人間とビジネスの本性について少しお話したいと思います。
ドナルド・ノーマン氏の講演より
講演テーマ「ユニバーサルデザインは企業文化になるか?」
1998年6月
Appleの副社長だったドナルド・ノーマン氏は、Appleのプロジェクトを例にして「技術の変化と製品の使いやすさとの関係」を解説しています。こういう話は講演でしか聴けませんね。
ユニバーサルデザインの主な要素としては、ユーザビリティ、そしてクロスユーティライゼイションがあります。これは、可能な限り多くの人にとって使えるようにデザインすることをいいます。
アクセシブルデザインはユニバーサルデザインのごく一部で、小さな要素にすぎません。デザイナーの最大の弱点は、人々がどのように行動するのかを理解していないことです。インタラクティブやソフトウェアがどのように動くのかは理解しているかも知れませんが、人々のことは理解していません。
ジョン・スコット氏(ディズニー・アミューズメントパーク社)
シンシア・レイブロック女史(イージーアクセス)
講演テーマ「すべての人に平等な解決をめざす」
1998年6月
クロスユーティライゼイションというのは、特定の人々を対象とするのではなく、可能な限り多くの人々に使えるようにすることです。
シンシア・レイブロック女史の次の言葉が印象に残っています。「バリアフリーはメガネ、ユニバーサルデザインはコンタクトレンズ」
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