2005/02/05

Webデザインのガイドライン作りは企業が先行[5]

昨日の続き‥
(※過去書いたものを適当にアップしているせいで「昨日」「明日」などの文脈が壊れているのでご注意)

専門誌や書籍などから膨大な情報を集め、インデックス化して、ガイドラインに組み込む。技法だけに絞り込んでも「標準に準拠した技法」「準拠していないが現在有効な技法」「使わない方がよい技法」といった情報が抽出され、デザイン仕様書に反映される。

活動はこれで終わらない。このガイドラインを用いて成功したプロジェクトのノウハウをまとめる作業がある。効果測定の結果、成功となって終わりではないのだ。次は、このノウハウを売るというビジネスに発展させる。

私などは「これを本にしたら売れるのでは?」などと考えてしまうが、うまくいった利益モデルは同業者が欲しがる。例えば、Webサイトのリニューアルガイドとしてまとめ60万円で売る、10社が買ってくれたら600万円だ。

学校で先生をしていた時、30万円くらいの受講料を払って講習に参加したことがあるが、これは必要な出費だった。ある目的の授業を成立させることは、結果的に学生集めにつながる。特化した分野では、同業者にノウハウを売るのはよくあることで、Web分野においても活発だ。

私のようにデザイナーでもないのにデザインの本を書いている人間に欠けているのは「現場で得る成功体験」である。だから、成功事例を売るという前述したビジネスはできない。しかも転売されない別のノウハウも必要だ。(ただ、eラーニング世界で扱うのものは、ほとんどが少量高額商品なのだが‥)

よくできたWebガイドラインが作られていても、そう簡単に表に出せないのは、単なる情報ではなく「知」としての価値が高いからである。しかも、それを一番必要とする同業者が近くにいる。何の華やかさもない、でも単刀直入なノウハウのクオリティに触れてみると、実践することで得る成功、失敗の重要性を痛感する。

そこで、ある試みに注目してみた。
続く‥

2月 5, 2005 [01bc1]本に関連したコラム | | トラックバック (0)

2005/02/04

Webデザインのガイドライン作りは企業が先行[4]

昨日の続き‥
某企業の方と雑談していて、出てきたのが(数日このブログで書いてきた)企業独自のガイドラインである。レイアウトパターンや表現、対象とするブラウザなどを選択すると、「標準に準拠した技法」「準拠していないが現在有効な技法」「使わない方がよい技法」などが検索できる仕組みを持っているわけだ。サイト方針を明確にして、デザイン手法さえ管理下に置くことで発注費用もコントロールできる。

▼ブラウザの種類やバージョン、CSS解釈の癖や致命的なバグなどがこまかく検索できる仕組み(スクリーンイメージ)
ブラウザ・インデックス画面イメージ
大きく表示

本業であるラーニングの作業に近い話なので盛り上がったわけだが、これは本来プロダクションの機能ではないかと感じた。このときの雑談で先方は「いや、もうやってるよ」と言っていたので、実際はプロダクションも着手しているのだろう。ただ、大きな企業は違うのだ。部署やチームとして組織されると、その作業に専念できる。このようなコストのかけ方は、なかなかできない。

さて、しかし‥せっかく本を書かせて頂いているのに、レポートで終わってしまうのはもったいない。
そこで、ほんの一部だけをピックアップして、デザイン作業の事例という形でまとめてみようと思ったのが現在執筆しているCSSリフォームガイドである。(昨年の秋のことだ。)

やってみると意外に大変。企業の実践ガイドラインと商品(本)の違いにも気付かされた。いろいろ試行錯誤しながらも、なんとか型がみえてきたのが昨年の12月。
企業の広い会議室のテーブルに積まれた専門誌や書籍を分類する作業は、個人のうさぎ小屋では不可能だった。

続く‥

2月 4, 2005 [01bc1]本に関連したコラム | | トラックバック (0)

Webデザインのガイドライン作りは企業が先行[3]

昨日の続き‥
ガイドライン作成という作業は、eラーニングの世界では必須である。教育計画を任されている研修担当の方も同様だと思う。例えば、Webデザインのガイドラインなら、こんな感じで進行する。

[1]Webデザイン専門誌バックナンバーを集める
絶版があれば神保町の古本屋で探す。BOOK OFFなどに揃っている場合があるのでチェック。
専門誌の写真

[2]過去記事を収録した雑誌は必ず買う
CD-ROMに過去記事やサンプルが収録されていたら買っておく。Webデザインに直接関係なくても揃えておく。
NETWORK MAGAZINE表紙

[3]解説本を分解する
但し、著者の個性が強い本は分解すると分かりづらくなるので目次のみを利用する。
分解された解説本

材料が揃ったら、大きなテーブルのある部屋で分類を始める。文房具店で売っているボックス(我々は茶箱と呼んでいる)が便利である。
分類しながらインデックス語も決めていく。後で参照インデックスを作成するときの目印になる。
ソースがすべて印刷物なので概念分析型インデックス付与作業となる。つまり、作業する人間の知識や経験が問われるのだ。単なる事務作業ではないので、必ず専門家を呼んでくる。今回の場合は、経験豊富なWebデザイナーの力を借りることになる。

ガイドラインを作成する場合、今、流通している情報だけではなく過去情報も必要。専門誌で紹介されている技法は、何度も繰り返し掲載されるが、過去記事の方が丁寧に記述されている場合がある。解釈のルーツを知ることもでき、より理解が深まるのだ。

続く‥

2月 4, 2005 [01bc1]本に関連したコラム | | トラックバック (0)

Webデザインのガイドライン作りは企業が先行[2]

昨日の続き‥
昨年末からWebデザイン本を3冊書くことになり(改訂本の作業はすでに終了)、暇をみつけて取材を続けている。大きな動きとして目立ってきたのは、Webデザインのガイドラインが作られてきたことである。WebコンテンツJIS[X 834-3]などを参考にしているが、企業ごとに若干内容が異なる。

デザインプロダクションに任せていた企業も独自のガイドラインを作り始めている。面白いと思ったのは、専門誌を最大限に活用していることだ。1例はこんな感じである。

・Webデザイン関連専門誌のバックナンバーをすべて集める
・記事をカテゴリで分けインデックスを作成する
・ソースが印刷物なので概念分析型のインデックス付与
・希望する表現から概念と具体的な技法を導くようなマップを作る

例えば、CSSを使ってグラフィカルに表現したい場合、”技法”としてFIRを使うとする。そのとき”併用する技法”off-leftの情報もセットで提示され、1ページで”使用できる回数”などが指定される。SEOスパムに似てしまう場合は”代替え案”が出される、といった使い方ができるのである。
Webデザインの技法1つ見ても、かなりこまかく分類している。

・標準に準拠した技法
・流行りの技法
・時限有効の技法
・使用禁止の技法

ある担当者は、Webデザインの専門数誌のバックナンバーで(現状において)ほぼ完璧なガイドラインが作成できると言っていた。インターネットで公開されている情報は有益なものが多いが、信頼性の判断が難しく、基本ソースは書籍や雑誌、新聞になってしまうということだ。

自分が過去に執筆した記事を”今”利用されるのは、ゾッとしてしまうが、解釈が古い情報はチェックされ、「過去流行った技法、現在は使ってはいけない技法」などに分けられるそうだ。それもあまり嬉しくないが‥

さて、Webクリエーターにとっては、少々悩ましい問題となる。表現上の指摘、修正だけではなく、「当社のガイドラインに沿っていないので作り直してほしい」ということがあり得るからだ。

この傾向は、WebコンテンツJISなどの影響で新しい部署ができた企業に多い。このようなローカルな標準化は、当然発生してくる作業だし、今後も増えていくはずだ。企業秘密に等しい扱いなので、外からは見えないが確実に進んでいるような気がする。
とにかく組織内で”仕組み”ができてしまったら早い。ガイドラインを考えるのが仕事なのだ。Webデザイン専門誌を分析したり、積極的にWeb関連セミナーなどに参加する。「知」の蓄積・活用においてWebクリエーターの上をいっている。実作業をやる立場(受注するデザイナー)としては、使う技法まで指定されるのは楽しみがない。
明日に続く‥

2月 4, 2005 [01bc1]本に関連したコラム | | トラックバック (0)

Webデザインのガイドライン作りは企業が先行[1]

iNTERNET magazine デジタル アーカイブス」では、iNTERNET magazineの創刊号(1994年9月)〜2002年2月号まで(登録すれば)誰でも無料で閲覧できる。
最新号の前の3年間分は、定期購読者限定のサービスになっているが、創刊号から発売3年以上経過した号までは自由に閲覧できるのだ。日本のインターネットの歴史をみる上で重要な資料となっている。このような試みは歓迎したい。(尚、公開されているPDFファイルには電子透かし技術が採用されている。)
iNTERNET magazineサイト画面
過去蓄積したものをコンテンツとして提供するには、権利処理などクリアしなければならない問題が多い。ただ、(閲覧希望者の)メールアドレスとプロファイルが取得できるのだから、新たな個人情報をその他の領域で活用できるメリットは大きい。

現在発売中の「NETWORK MAGAZINE」3月号の付録CD-ROMには、2003年12月号〜2004年12月号までの記事がPDFで収録されている。1年分だが、これも貴重な資料だ。
NETWORK MAGAZINEの付録PDF

インターネットのように日進月歩の分野は、常に俯瞰して「今」を見ていく必要がある。商用インターネットは、たった10年くらいの歴史である。今ならすべての情報を集められるし、データベース作りも容易である。すでに企業がガイドライン作成プロセスの1つとしておこなっているが、クリエーターもそろそろ武装する必要があるのではないだろうか。
なぜ、そう感じたのかは‥明日。

2月 4, 2005 [01bc1]本に関連したコラム | | トラックバック (0)