ビヘイビアを考える(Director 7 Lite から学ぶ)
1999年12月、「Macromedia Director 7 Lite」が日本で発売された。(世界同時発売ではなく、まず日本で発売されたことが重要である。)私も覚えているが、Director のライト版がリリースされたというのは衝撃的であった。まさに待望の商品だったのだ。価格は19,800円。

当時は、すでにネットコンテンツが主流となり、Shockwave による配信を前提とした仕事が増えていた。Web は、
アマチュア、プロ問わずWebサイトを公開し、さまざまなコンテンツが登場、玉石混淆の世界であった。
オーサリングツールの世界標準だったDirector は、プロ用のツールであったが、「Shockwave 専用のDirector があってもいい」「むしろ必要とされているのではないか?」という声が出てきたのだ。Shockwave 制作専用にして、機能を限定、安価にすれば、アマチュア層に受け入れられる魅力的なツールになると思ったのである。
当時、米マクロメディア社は(Tom Hale 氏のインタビュー:design plex 2000.2)、「米国にはそういう(ビジネスとして成り立つ)市場はないが、日本にはホビーユーザー、コンシューマユーザーに向けた市場があるのではないか」、さらに「日本はゲーム王国という印象がある、Director Lite でどんどんゲームが生み出されていく状況になれればいい」と述べている。
Director Liteを起動するとスタートアップ画面が表示されるが、そこには「Let's Create Shockwave Games」と書かれているのだ。「Web で楽しめるミニゲームをたくさん作ってください」という思いが込められている。
つまり、日本市場にターゲットを絞ったバージョンだと言える。新たに開発したのではなく、すでに存在していた(機能を制限した)アカデミック版に日本からのリクエストを追加したのが、Director 7 Lite なのである。
さて、Director Lite の仕様だが、何と言っても売りは「ビヘイビアライブラリ」である。ビヘイビアを使用することで、スクリプトを記述しなくてもインタラクティブな仕組みが構築できる。秀逸なのは、付属するチュートリアルである。マクロメディア社は、このチュートリアルを製品の重要なアイテムとして位置付けていた。

Director Lite は、スクリプトウィンドウやメッセージウィンドウを開くことができなかった。つまり、スクリプトを記述することができないのだ。そのためのビヘイビアだと言えるのだが、このビヘイビアも”誰でも簡単に”というものではない。親切丁寧なチュートリアルを付けているくらいだから、初心者にとっては何らかの補助が必要なのだ。
FLASH MX 2004 にもビヘイビアが搭載された。コンセプトは、Director Lite のビヘイビアに近い。FLASH の場合は、[アクション]パネルのノーマルモードを廃止した。但し、完全にブラックボックス化したわけではないので、ビヘイビアに全て頼る必要はない。そもそも「ビヘイビアを使えば、スクリプトの知識がない初心者でも簡単に‥」とは(大きな声では‥)言っていないはずだ。あくまで、作業の自動化・効率化というアプローチなのである。
Director Lite の狙いは素晴らしかったのだが、ビヘイビアに依存した制作というのは意外に窮屈だったのではないだろうか。ゲームなどのコンテンツ制作を考えたとき、アマチュアにとってもスクリプトというのは魅力なのではないか、と思うのである。LINGO要らずのビヘイビアではなく、支援ツールとしてのビヘイビアとして提供されたら、どうだったのだろう。(開発コストのことを考えたら、困難だったのもしれないが‥)
5月 18, 2004 [05cc1]クリエーター[コラム] | Permalink
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